コードギアスR2 第8話(Turn8) 「百万のキセキ」感想1
そして今回から明確なキーワードが出てきました。「約束」
Turn8に明示的に出てきただけでも
- ロロとルルーシュの約束
- ブリタニアとゼロの約束
- ゼロとスザクの約束
- ルルーシュの言う
とスザクの「あの」約束→スザクのユフィに対する誓い
(そういえばギアス自体も「契約」でしたね)
(※修正 「あの」約束はユフィの霊廟でのスザクの誓いだと解釈しました。→とすると、「平和で優しい世界を作る」というスザク、ナナリー、ルルーシュの目標が明示的に一致した回なのでは?と思えてきました。)
今回の一押し
■百万人のキセキ
今回この流れでうーんやられた~と思ったことを。
- ゼロを一旦国外追放にし、ルルーシュがゼロを捨て、騎士団も裏切ってルルーシュとして生活していくのではないかと思わせた後のどんでん返し
- 「ゼロ」を記号化し、百万の民を「ゼロ」とすることでブリタニアとの約束を逆手に取ったこと
- スザクへの問いを通して日本を離れる百万の民への説得
- ゼロ予測「スザクは絶対虐殺を行わない」
- スザクに残った日本人の保護を約束させた
- 日本人のスザクに対する意識の転換?(これは想像)
■1 ゼロの提案
ラウンズを中心としたブリタニアとの会見でゼロが提案したのは
- 特区に百万を動員すること
- そしてなんと国外追放にすることで「ゼロ」を見逃す
というものでした。この時点で、一旦ゼロが国外逃亡したと見せかけて普通にルルーシュに戻って生活するのか?などと思い、まんまと騙されてしまいました。そうはいかないのがギアスだった!
続く2も1と関連しますが、長くなるので分けました。
■2 ブリタニアとの約束
ゼロはブリタニアと「ゼロを国外追放」にする約束をとりつけました。
ここだけはちょっとあり得な~いと思ったのですが。
この場合は外交とは違うのですから口約なのですかね。その辺りの細かいことは置いておいて、
通常契約を交わすときはまず契約を交わす相手が何者であるかを明確にしておかないと法的な責任者が分からなくなってしまいます。そしてゼロが言った「ゼロ」の意味。ここでいう「契約対象者」も定義しておかないといけないはず。
だいたい正体を知らない相手としかもその人物を対象に契約するなどあり得ないじゃないですか。しかも優秀なラウンズさんが3人もいて。
桐原のように仮面を外させるとか正体を明かすとかの場面(ロイドさんの問いかけ止まり)のがブリタニア側として抜けているのはちょっと腑に落ちません。
ミレイさんのいう「ゼロを記号にしてしまった」とはゼロ=特定の人物を指すものではなく、ゼロの衣装を身にまとい、ゼロと名乗るもの、ブリタニアに反旗をひるがえすもの全員がゼロである(真贋は行動によって量られる)」という意味に捕らえられると解釈しています。
■3 日本人とは
前半でもゼロは藤堂に語りかけていました。
「日本人とはなんだ?」
ものすごく哲学的であり、「日本人である」というアイデンティーをどこに持つのかという根源的な問いです。
ゼロ「それより枢木スザク。君に聞きたいことがある。
日本人とは…民族とは何だ。
言語か、土地か、民族か、血のつながりか」
スザク「心だ」
ゼロ「私もそう思う。自覚、規範、矜持、つまり文化の根底たる心さえあれば、住む場所が異なろうと、それは日本人なのだ」
日本は島国であり、他国から本格的に侵略を受けたことはありません。そして農耕民族であり過去において土地が租税単位になっていたことからも、「先祖代々の土地」についてはひとかたならぬ執着があるはずなんですよ。
上から「安全を保証するから移住しろ」といっても100万の民を納得させることは不可能なはず。
しかしゼロはスザクの答えを予想し、それを肯定し、100万人を納得させる材料にした。
ゼロはスザクを通して「自らを日本人と定義づけるものは何か?」を百万人に考えさせ、納得できる答えを与えて見せたのです。うーん、これは上手い。
■4 揺れるスザク
スモークを焚いた時点でブリタニアが鎮圧行動を取らないかはジノやローマイヤの態度から相当綱渡りだと思いながら見ていました。でも最終的にユフィのことがあるのでそうは早まらないだろう~と思っていました。
そして最後にスザクも同じセリフを語ってくれたのでちょっと嬉しかったです。
スザク「これは僕が発砲命令を出さないと信じてこその作戦だ。ゼロは僕のことをよく知っている。」
ただスザクもかなり危うかったですね。
ゼロ「命令しろ、ゼロを見逃せと」
スザク「命令しろ、ゼロを撃てと」
今回ローマイヤもそうでしたが、ジノ、ニーナなども完全にユフィー、ナナリーと対極にある正に「ブリタニア体制側」の人間として描かれていました。
ローマイヤがあまりにユフィの惨劇を繰り返そうとするので、補佐官の分際で、なんの権限があってそんな短慮に走るの?と殺意さえ芽生えました。
冒頭で「お前の罪は消えない」と断じてゼロを許さないことを誓っていたスザク。許してはいけないという思考が拭えないスザクは(当たり前ですが!)、ゼロを逃がさないために、一度は「ゼロを撃つ=百万の民を虐殺する」という道に進もうとしてしまいます。
しかし揺れるスザクの心を決めたのはユフィとナナリーの言葉、そしてローマイヤの暴挙。
撃とうとするローマイヤにユフィーの悪夢を思い出すスザク。そしてすべてを許すつもりのナナリーの言葉がリフレインします。
スザク「ユフィもナナリーも許すつもりだった。」
前半でナナリーも言っていました「すべてを許すつもりだったのに…」
■5、約束
スザクは100万の民を逃がすために、ゼロに言います。
スザク「約束しろ、ゼロ。彼らを救ってみせると」
ゼロ「無論だ。枢木スザク」
そして逆に問いかけます
ゼロ「君こそ救えるのか エリア11に残る日本人を」
スザク「そのために、自分は軍人になった」
ゼロ「わかった、信じよう、その約束を」
「聞こえたか。すべてのゼロよ。枢木卿が宣言してくれた。不穏分子は追放だとな。これで我らを阻むものはなくなった。いざ進め!自由の地へ!」
ゼロはズザクの問いかけを逆手に取り、スザクがエリア11の日本人を救うという約束を取り付けます。これは先ほど書いた契約からいうと、「誰と結んだ誰に対する契約」とか「日本人」とか「救う」とかの定義はなされていませんが、それはちょっとここでは置いておきましょう。
ただここで重要なことは公の場でスザクが何故自身が軍人になったかを明確に示したことであり、さらに、日本人を救うことを約束したということなのです。
(※追記)
コメいただいたので…特区に参加しなかった日本人は置いてきぼり?という話ですが、残る日本人のためにスザクの問いかけを利用して、スザクに残る日本人の保護を取り付けたと思っています。これはゼロの「特区参加者はこっちで責任を持つから、残る日本人はスザクで責任を取れ」という約束なのだと思います。詳細はコメント参照してください。
■6 スザクに対する世論
現状、日本人のスザクに対する意識はアーニャが分析してくれていました。
アーニャ「あなたってマゾ?」
スザク「は?」 (→ぶしつけな問いに対するスザクの反応がおかしいですよ)
恨まれているのを知りながら、エリア11を志願した。
ナンバーズの英雄。
日本を裏切った男。
ゼロの敵。
ここは被告席。
ねたみと恨みがあなたを殺す。
アーニャの意見は日本人の総意なのでしょう。(何気にアーニャはスザクをよく見ていて、助け船を出してくれています。)
それに対するスザクの答えははなっから人に理解してもらうことをあきらめているようです。
「誰かに理解されたいとかそういうのはもういいんだ。
昔分かってくれた人がいたから。…それに僕はもともと罪人だし」
ユフィが一度自分を理解してくれたことで十分、もうそれ以上はいらない。という彼の思いが語られています。父親殺しがきっかけで「自分嫌い」になったスザクですが、一時ユフィにより彼の心の扉は開かれました。
しかし、そのユフィを失ってしまった。
唯一の理解者であるユフィを失ったことで、彼の真意はさらに奥深くに閉ざされてしまったのではないでしょうか。
だから日本人全員に恨まれようと、理解されなかろうと、言い訳も弁解もせず、あとは自らの信念を元にその日本人を助けるために動いているのではないかと思います。これってものすごく昔気質の日本人というか武士的な感じもします。
同じ事が対ルルーシュにも言えるんじゃないかというのは管理人の希望です。
しかしこの事件をきっかけに、スザクが虐殺を止めたという事実と、彼がなぜブリタニア軍人になったのかということが日本人に伝わりました。このことが日本人の意識を変えるきっかけになればいいのですが!
ロイド「スザク君が助けたこの100万人。誰も感謝はしてくれないよね。
セシル「分かっているはずです。それくらい。」
ロイドさんの「くれない」発言はすっかりスザク目線の語りですよね。
ルルーシュとスザク
ルルーシュもナナリーもスザクも(ユフィも)「平和で優しい世界を」願う気持ちは変わらないことが今回でもよく分かりました。そして今回はルルーシュがスザクもナナリーも理解しているからこそ取り得た作戦でした。
「これは僕が発砲命令を出さないと信じてこその作戦だ。ゼロは僕のことをよく知っている。」
「最悪の敵だからこそ俺にはよく分かる。そしてこれはナナリーのことを理解しているからこそできた判断でもある。だから、今は感謝しよう、枢木スザク」
スザクはこのことからゼロがルルーシュである結論に達するかもしれません。何より互いに立場は違えど、目指すところは同じ。今回は全く別の立場でありしたが、結果的に「ゼロを逃がして百万の民を助ける」という目的を達成できました。
残った日本人に対してはどうするの?と思った管理人でしたが、スザクの保護を取り付けています。そしてルルーシュの
「そして忘れるな。あの約束を」
の言葉の意味は?これ、今回の約束だとすると「あの」とは言わないでしょう。とすると何か?
ここで写ったユフィの霊廟でのルルーシュとスザク&ナナリーのキャンドルが寄り添う画
候補としては(優先順位の高い順に)
「平和で優しい世界を作る」 (ユフィ&ナナリーの願い)
「ナナリーを守る」
ぐらいでしょうか?
まだ「この約束」の意味するところが今回の「約束」と違うかどうかも定かではないので、推測はこのくらいにして、ちょっと保留にしておきます。
(※追記 見返しているとスザクやナナリーのユフィの霊廟でのシーンの直後にルルーシュが映ったので、もしやスザクの誓いをルルーシュが聞いていたのではないかと!
スザク「ユフィ、僕は君の遺志を継ぐよ。平和で優しい世界を君に」
これはスザクのユフィに対する約束
うーん、この線で押したいですね。)
これで3人の目標が一致した!
→スザクの「平和で優しい世界を君に」という決意を聞いていたからこそ、発砲命令を出さないとより確信したとも解釈できますよね。スザクの決意をルルーシュは知っているけど、スザクはルルーシュの思いをまだ知らない…。
さてさて、ここまで書いてまた力尽きてきました。ちょっと取りこぼしがあるので、一旦ここで切ります。
もしよろしければ、またいらしでくださいm(__)m。
(※追記) ★感想2★アップしました~)
この記事へのコメント
今回百万のゼロ(笑)には驚きもあったのですが、残されたイレブンはどう思うのだろうと?あれじゃ、黒の騎士団だけ逃げた。と感じる人もいるのでは。と思ってしまいます。ルルーシュ自身の狙いはわかりますが、黒の騎士団はよく今の段階でゼロについて国外追放の道を選んだと思います。そこが少しうーん・・と唸ってしまいました。
スザク目線でのロイドさんの語り。嬉しかったですね~vスザクにはロイドさんやセシルさんなど、理解しようとしてくれる人が傍にいることに気づいてほしいです。
コメありがとうございます。とても嬉しいですヽ(^o^)丿。
さてさて
>残されたイレブン
ですが、非常にツボをついた質問だと思います。私もこれを見終わった瞬間、追々、残りの日本人は置いてきぼりかよ!と思いました。
だからこその今日の一押し5番「スザクに残った日本人の救出を約束させた」なのですよ。
スザクが「100万の民を救えるか」という問いかけに対して、逆に約束を取り付けたじゃないですか。
つまりこうです。
ゼロ「特区に参加してくれた民はこっちで責任を持つ。だから残った民はお前が責任を持て」
しかも残った民に関してもゼロが完全に手を離すとは思っていなくて、中華連邦を足固めに、戻ってくる可能性もあるかもしれません。もしかしたらそのうちにスザクが中からブリタニアを変える可能性が出てくるかもしれません。
何が言いたいかというと、明らかに二人による共同戦線なのです。(ちょっと理想入ってます)
後ですね、この100万人ってすべてが黒の騎士団員かその補助員かどうかはちょっと明確ではありませんね。数からして「ゼロ」と騎士団員の呼びかけにより募った一般有志も含まれるのかと思っています。(作戦実行と情報統制がものすごく大変ですが…)
だとするとゼロはすべての民に呼びかけ、ゼロを信じて付いてきたものには責任を取るという形が出来ると思うのです。付いてこなかったものは自分の責任で特区を選ばなかったものと言うことですから。この考えは前提が覆ると覆りますww。
という感じでいかがでしょうか~?
>スザク目線でのロイドさん
そうですね。スザクも「自分の居場所はあるじゃないか」って気付いてくれる日が来て欲しいですね。
そういえばルルーシュは心折れた時に叱咤激励してくれる人がたくさんいるけど、スザクには…。
スザクはあまりにも頑なで…私の推理が正しければ自分を人に理解してもらうことをあきらめないでほしいです。まだ18歳なのに。
うスザク、ナナリー、ルルーシュ
の目標が明示的に一致した。
私もそう思いました。
3人とも目指す未来は、同じなの
ですから。
そして、エリア11から、中華連
邦からそれぞれブリタニアを変えて
いく戦いが始まりましたね。
>「先祖代々の土地」についてはひ
とかたならぬ執着があるはず
そうですね。
戦後のGHQの主導によって、日
本政府が行った農地解放政策も、こ
の執着があったので、「先祖代々の
土地を離せるか」という地主の抵抗
があったので中々進まなかったそう
です。
でも、それを乗り越えさせて「心
」だと納得させたのは、どこにいよ
うとも、「日本人」だと胸を張って
いえる誇りを取り戻させる事が、で
きたからこそと思います。
>日本人を救うことを約束した
中々、前に進めなかったスザクが
ようやく前に進む事が出来そうです
ね。
ナナリーを助けながら、頑張って
欲しいです。
それこそが、スザクの生きる意味
になるでしょうから。
>彼の真意はさらに奥深くに閉ざさ
れてしまったのではないでしょう
か。
ユフィの存在が大きすぎましたか
らね・・・。
私は、スザクが死んだユフィにだ
け、本当に心を開いているように見
えるんですよ。
でも、その考え方では、スザクは
前に進めない。
そう思えます。
ナナリーがどこまで、傷つきボロ
ボロになったスザクを受け止められ
るかが鍵になる気がするんですよ。
一度、スザクは思い切り泣くべき
かなと、思えます。
辛さや苦しさ、痛み、全てを抱え
込む必要は無いのですから・・・。
その涙を、ナナリーが受け止めて
くれると嬉しいですね。
いつか3人の道が重なる事を願いま
す。
>「平和で優しい世界を作る」
もともと「ほんの小さな幸せを望んでいただけだった」はずなのに、随分遠回りしてここまで行き着いた感じですね。でも「平和で優しい世界をつくる」という理想は、1期ユフィの時も一時そうでしたけど、さんざん短慮だとこき下ろされた思想なので、今回こんな事を書くのはどきどきだったんですけどね。
で、目標が定まったところで、じゃあどうやるの?というところに入っていきますが、ここから先の戦術的なことは私は結構??になってしまうので、CIC担当さんはじめ、皆さんの記事に大いに期待しています!
>「先祖代々の土地」
そう語る根拠と事例を挙げよとつっこまれると痛いところだったのですが…図らずもフォロー、ありがたい限りです。(ちょっと余談ですがCIC担当さん達の考察でいつも凄いと思うのは考えの根拠と事例を示されているところなのですよね。これ、引き出しがないと出来ない技なので…)
話を戻します。たとえ一人でも人間のもつ意識を変えさせるのは難しいはずなのですが、100万人ですからね。事前に説得できた騎士団員がいたとしても、ほとんどが寝耳に水の移住(だと想像しています)ですから、本来相当な抵抗があるはず何ですよ。そこをうまく説得する方向に持って行けたのがおぉ~と思いましたね。
>前に進めなかったスザク
そうですね。彼の進む道が明確になってきましたし、そして今回彼の口から彼の決意や考えが語られていたのも嬉しかったです。
今まで想像の域を超えていませんでしたからね。
ユフィについてはあまりの唐突さにそんな馬鹿な~と思われることも多々ありましたが(私は好きでしたよ!)、彼女の突飛さはほんとスザクにとっては救いでしたよね。
扉も関係ないぐらいに飛び越えて来ちゃいましたからね。
ナナリーはユフィほどの破天荒さはないかもしれませんが、彼女の潜在的な器の大きさから、時間をかけてでもスザクを導いていって欲しいですね。(これはCIC担当さんが仰っていた子供の頃の関係と逆パターンですね)。
そして統治面ではスザクがナナリーを支えていくと。
何より幼なじみですからただの「皇女殿下と騎士」ではなく、ただのナナリーとスザクになれる二人なのですよね。
>いつか3人の道が重なる事を願いま
す。
そう願いたいものです!